どんな所でも良い仲間に恵まれれば、そこが天職です。

同僚女「観念してうちを撫でるんやね」
魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」@ wiki http://www35.atwiki.jp/maoyu/
リンク、短編作品

「野良だから、自分の餌は自分でとらないといけません。野良だから自分の身は自分で守らないといけません。
 派遣会社に登録して、労務相談とかあるから何かに所属して守ってもらえるような錯覚があるけれど、それは全部嘘。
 派遣会社は野良の道具です。野良の飼い主じゃありません」――男
 
 題名からしてオフィス恋愛でも扱った話なのかなー、と思って開いて見れば、いわゆるブラック会社で働く派遣社員たちの生きざまを書いた作品だったという罠。台本形式で、男「――」女「――」のような形で話が進むので注意。気に入らない人は気に入らないかも。
 主人公は派遣チームのマネージャーの「男」。他にも「B男」、「C男」、「新人女」、そしてヒロインの「女」が仲間にいる。
 だが、無茶な上役*1 の仕事取りのせいで、他にいくつも仕事を抱えてる中で、本来半年はかかる作業を4カ月で仕上げないといけなかったり、他の部署のチームが潰れたせいで人員がそっちにヘルプに行ったりと問題が続出。その中で現場を知らない上司の接待をしたり、真っ黒な腹を読み合う会議に出たり、これ主人公過労死するんじゃね? と終始はらはらし通しだった。世のお父さん方の大変さがよく分かるぜぇ……。
 正直万人受けしない話だと思う。少なくとも一度は働いていないと共感できる部分が少なすぎる。
 しかし、私が思うにこの作品の隠されたテーマは「大変な状況下でも同じ目標を持った仲間がいれば打開できる」であると思うのだ。前回から一緒に仕事を続け、主人公を公私ともども支え続けた女がその代表格だろう。
 他のチームに行きながらも影で援護し続けたB男や、最初は反発しながらも、徐々に男を上司として認めていくC男、不慣れでも一生懸命頑張る新人女も忘れてはいけない。皆が一丸となって男を支え、逆に支えられゴールを目指す姿は胸が熱くなるのを止められなかった。
 頑張れ、男超頑張れ。次のデスマもきっと乗り越えられるさ。
 あと、序盤でとんでもない伏線張ってるので、気づいたら凄いと思う。
 
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*1 自分の営業成績を上げるためだけに作業期間を短くして仕事を取ったり、ハーレムを作りたくて女性ばかりのチームにしたせいでチーム自体が潰れたり、本当にろくなことをしない。案の定最後に痛い目を見てくれたのでスカッとしました。
*2 仕事が忙しい状態とデスマーチは根本的に違う、という言葉にはビビった。擬音だと『ギギギ』らしい。
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