次も同じ作者様の作品紹介に入ります。

ログ・ホライズン
小説家になろう http://syosetu.com/
「僕らは三万人もいますけれど、三万人しかいないんです。みんな、舐めてます。異世界を甘く見すぎてます。必死さが、足りないです」――シロエ
 
 オンラインRPG迷い込みSS。イメージ的にはFF11的なゲームを想像してくれればいいかと。
 とにかく世界観が丁寧で、話の展開に無理がない。異世界に迷い込んでの問題、弊害、メリット、オンラインRPGゆえのギルド問題や、ゲームと実際の戦闘との差異など、もしも実際に迷い込んだらどうなるか、考えうる限りの内容が書かれている、それこそお手本のような作品。ほんま小説家になろうは玉石混合やでぇ。
 職業についても、それぞれにそれぞれの特徴があり、そのままゲームの設定に使ってもいいんじゃないかと思えるほど。ちなみに主人公は古参プレイヤーから「腹ぐろ眼鏡」と呼ばれる付与術師。どマイナーな職業でありながら、天然の腹黒さで相手を追い詰めていきます。
 というか眠くなる、腹が減る、排泄もするし、時間の概念がある。そんな当たり前のことですらゲームの世界においては当たり前ではなくなる可能性を考えていた主人公には驚いた。しかも後々の伏線に繋がってくるとかもうね。どこまで先を考えて書いてるんだこの人は。あと、死亡のくだりでゼーガペインを思い出したのは私だけでいい。
 現在NPC*1 であると信じられていた〈大地人〉との会議が終わった直後。冒険者たちの力を見せつけた今後、どのような展開になるのか今からwktkである。
 とかなんとか考えていたら、実はこの作者様。最近話題のファンタジーの皮を被った政治物、魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」を書いた人だったらしい。どっちの作品が先にしろ、そりゃここまで書けるわ、と納得。
 
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*1 プレイヤー曰く、『喋る自動販売機』。言い得て妙である。
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