お姫さんがいじらしすぎて困る。

へっぽこ鬼日記
小説家になろう http://syosetu.com/
四季折々の景色を一緒に楽しむのも良い。
この城に来るまでに通った城下町を2人で歩くの良い。
今は笑顔を見せてくれないけれど、いつかきっと笑ってくれる日がくるだろう。――藤見恭(地文)
 
 異世界憑依もの、なのだがむしろ架空戦国時代憑依と取ったほうが面白いかもしれん。
 ジャンルとしては最近増えてきた勘違いもの。気がつけば鬼、と呼ばれる種族に憑依していた主人公はなりゆきのままに大家の娘と見合いをすることになるのだが……。
 展開的にはテンプレな勘違いもの*1 なのだが、勘違いものにしちゃ心情描写が半端ない。あんまり書きすぎると勘違いする余地がなくなってしまうので、自然少なめになる内心の動きが、冗長にならないぎりぎりくらいの長さで表現されている。
 一時期主人公持ち上げられすぎだろ……、と思わなくもなかったが、家柄+第一印象が働いていると考えればさほど違和感もなくなった。
 勘違いしてるくせに素でカッコイイ主人公も○。あれだ、だいたい向いてる方向は同じなんだが、ベクトルが120度ねじ曲がっているという。180度じゃないのが逆にいい。殺し文句すぎるだろあれ……。
 あと、幕間として主人公以外の視点からの話が書かれるのだが、そっちはどシリアスです。先代に忠誠を誓う、悪気はないけど扱いに困る老臣たちとか、お家騒動を避けるために未来を閉ざしたお姫様とか、裏でどんなことが繰り広げられているのか、本編の時点から楽しみになれる。
 
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*1 本人が偶然した行動が、実は周りからするととても大きなことをしていた、偶然言った言葉が確信をついていた、など主人公の実力一切関係なしに運でのし上がっていってしまうジャンル。基本周囲との温度差で笑う物が多い。
 安易そうに見えるが、形の違う俺tueeeeee! になりやすいので、真面目に書こうと思うと難しい。面白いのもこれ以外一つ二つしか知らないし。
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