うぬぬ、どちらを載せようか……ええい両方だ!

始まりはそれぞれに有るからこそ面白い
YOMO帳 http://mk0113.gozaru.jp/index.html
SS、ジャンク。アイドルマスター 真SS
振り向いた、その『後輩』である真の体は――『女性』特有の曲線でなぞられた身体だった。――先輩(プロデューサー)
 
 さてさて。アイドルマスターを知らない人について補足。
 通称アイマスは、プレイヤーがアイドルのプロデューサーになり、トップアイドルを目指して奮闘するゲームです。ですからけっしてギャルゲーではありません。ち、違うって。胸タッチして好感度上がったりするけど立派なシミュレーションだって!
 で、そのアイドルプロデュースを終えた主人公が、事務所の新人バイトとして新しくやってきた『少年』*1 菊池真の秘密を知るまでのお話。
 文体に独特の癖があり、基本全ての作品の主人公が古風な言い回しをするのでちょっと首を傾げる場面があったりするかもしれないけれど、その辺は慣れで。森見登美彦を愛読書にしているので、それもむべなるかな、といったところか。
 綺麗に起承転結が纏まっていて、時折挟まれる小ネタには笑わせてもらった。もちろんそれだけではなく、一番の見どころはカッコイイ大人の見本とも言うべきプロデューサーの内情だろう。
 混乱し、展開が目まぐるしく変わっていっても決して短慮な判断は下さずに真に対して理解ある反応を示す彼には思わず惚れた。『格好良いお姫さま』でまた惚れ直した。普段はいい意味でも馬鹿なので、そのギャップにまた惚れた。職場にこんな先輩いたらさぞかし楽しいだろうとつい思ってしまうほどいい主人公である。
 他のアイドルたちの現状も作中で紹介されているので、彼女たちがほったらかされているというわけではないようだ。
 とにかくプロデューサーが男前で、真ファンなら一読の価値ありな作品。
 
転生について真面目に書いてみた 
四方山話(全手動ブログ)、100517
異世界に送るのは一方的では無く、私達が様々な世界へ人を送っているように、逆に様々な世界の方々をこの地球へ招いています。理由としては、そうですね……かなり乱暴な言い方になりますが解りやすく言うと、人間で言う所の『血が濃くなる』のを防ぐ為ですね。広義の意味で言えば、皆さん全員は同じ地球人ですから」――エル
 
 同サイトで、まさしく目から鱗が落ちる思いだったので思わず追加。
 死亡→天使っぽい存在に会う→力を貰って異世界に行くというテンプレを踏んだ後に転生するプロローグのみ掲載されている。使いたいなら作ってくれてもいい、と筆者様が言っていたが、これ使えるやつなんざほとんどいないと思うのだがどうか*2。
 上記のセリフは天使が転生を薦める理由なのだが、果たして今まで読んできたSSの中に、これほど納得のいく理由があっただろうか。いいや、あるまい。まさしく題名に偽りなしの『転生について真面目に書いてみた』SSである。同作者にオリジナルMMO憑依SS*3 があるのだが、そちらの憑依理由もまた納得いくものだった。
 続きが異常に気になるが、おそらく先を書かれる可能性は低いだろう。残念至極である。
 死んだ後だというのに無駄に高いテンションも、やけにノリが軽すぎて威厳もなにもない自称神様も、必要性の感じられない異世界移動も、いわゆる最低系要素が一切ないので、最近転生物は食傷気味なんだよと思っている方は是非。
 きっとまだまだこのジャンルも捨てたものじゃないと思わせてくれるだろう。

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*1 『 』をつけて『少年』にした意味が分かってもらえるとうれしい。
*2 主に筆力と文章の癖的な意味で。少なくとも私にゃ無理だ。
*3 主人公が執事服着た職業拳闘士のリザードマンって時点でもう燃える。ヒロインは三白眼の皮肉なダークエルフです。
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