千雨魔改造に外れなしの伝説はたぶんここから始まった。
ネギま!〜The Cyberslayer〜(ネギま!×鬼哭街)
投稿図書 http://toukoutosyo.net/ 投稿版、ネギま!クロス掲示板、ページ1・2・3。
ネギま!×鬼哭街SS。
その姿は正しく、利によって他に移らず、どれほど窮すれど義を失わず、極に達するも道をはなれぬ者……
人それを―― “侠者”と言う。――地文
まだ長谷川千雨が幼かった時。雨で氾濫しかけた橋の下で、一人の浮浪者じみた男と出会う。
彼の名は劉豪軍《リュウ・ホージュン》。人呼んで『鬼眼麗人』、近未来の上海における犯罪組織*1、青雲幇の頭目である。
……という形で始まる、千雨魔改造の先駆けとも呼べるクロスオーバー。まるで剣豪小説のような剣戟の様に、ネギまらしさを忘れない軽い日常。二つを両立させたのは見事としかいいようがない。
内容としては戴天流剣法*2を修めた千雨がストーリーに程よく絡みながら活躍するもの。
気ではなく氣を扱い、あくまで凄く強い一般人の枠から少しはみ出た程度の立ち位置を崩さない彼女には好感が持てる。まだまだ未熟であると常々語っており、時間と労力をかけて千雨が徐々に成長していく過程が実にリアルだった。
また、他の登場人物が踏み台になっているかと思えばそうでもなく、本編では影が薄かったキャラクターにもスポットライトが当たっている。詠春やいいんちょ、修学旅行まではあんまり出番のなかったのどかやぱるも出番があるのはうれしい。
何より月読が原作の戦闘狂いから、剣を極めんとする剣士に変わっていく過程は秀逸。彼女と千雨の決闘は格好いいの一言に尽きる。描写も厚く、振り下ろされる重い一刀を受けるのではなく捌いたシーンは思わず鳥肌が立った。そのぶん刹那がワリ食っちゃったけど、しょうがないよね。
クロス元の鬼哭街を知らなくとも読める話なので、千雨が好きなら読んでみて損はないだろう。
……というか超。そのガイノイドは持ってっちゃいかんよ。
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*1 蒼天の拳に出てくる『青幇』を想像していただければ、ってほとんど名前一緒じゃないか。ぶっちゃけマフィアです。
*2 体内で練った氣で行使する剣術。達人が使えば棒切れすら鉄を切り、高速で走る車の上を飛び移って移動することも可能。原作主人公は機関銃の弾丸を刀で弾いていました。
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